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2006年03月11日

武士道と国家の品格

昨日は武士道について書きましたが、その後フト家に家に転がっていた『国家の品格』を読んでみました。昨年11月の発行以来かなり売れたようですね。売れ筋の本は敢えて読まない天の邪鬼な私ですが、試しに読んでみたところ、「やはり・・・」と「へー!なるほど」の2通りの感想を持ちました。

国家の品格
藤原 正彦著

税込価格 : \714 (本体 : \680)
出版 : 新潮社
サイズ : 新書 / 191p
ISBN : 4-10-610141-6
発行年月 : 2005.11

講演記録が下敷きということで、随所にジョークがちりばめられ、かつ非常に読みやすい本でしたので、2時間もかからずに読了しました。読み進めながら、最近新渡戸『武士道』が話題に上る理由は『国家の品格』の売れ行き好調とつながっているのかな、と想像しました。(最近は書店を覗くこともないので実態は知りませんが。)

第1章から第3章(近代合理主義の限界、論理だけでは世界が破綻する、自由・平等・民主主義を疑う)までは、「まさにそうだ!!」と共感しました。カルヴァン主義→ジョン=ロックの社会契約論→米国式民主主義を批判的に展開するあたり、単なる物知りではない、著者の教養が感じられました。(叙述内容の正当性には異論もあると思います。ここで私がいう”教養”とは、もっともらしいことをもっともらしく述べることが出来ることではなく、歴史を断片的な知識の集まりとして理解するにとどまらず、歴史的な事象を一連の流れとして把握しようとしている点です。)

「論理」だけでは世界は破綻する、この点も非常に強く共感したところです。私が論理の限界を感じ始めたのは大学に入学した頃だったと思います。今、なぜそうした限界を当時感じ始めたのかを思い返してみますと、その主因は、私が高等学校まで受けてきた教育にあったと感じます。

著者も言う如く、「論理」は道具に過ぎません。思考を展開するために必要なtoolであり、コミュニケーションのtoolです。論理からは決して”価値観”が生まれることはありません。価値観とは、著者の言葉で言えば”出発点”です。

パンを盗むという行為にたいして、「日本は法治国家である」ところから出発した場合と、「ああ、可哀想」から出発した場合、どちらも論理的には正しい結論をはじき出したとしても、出てきた結論は正反対であったりする、という風に著者は説明しています。

「材料(知識の断片)」をかき集めてきて、それを論理という道具でいくら料理(操作)したところで、できあがる料理は味が濃すぎたり薄すぎたり固すぎたり・・・etc まぁ、まともに食べることの出来る料理がたまたま出来上がることがあるかもしれませんが。(確固たるものが出来ることはないでしょうね。)

私は二十才過まで日本で教育を受けた人間ですが、学校では”何故(why)?”という質問はあまり歓迎されなかった気がします。分かりやすい例として、(著者も挙げておられましたが)【何故人は他人を殺してはならないか?】

いろいろな説明が考えられますが、それに対して”何故?””なぜ?””ナゼ?”と論理的に追及していくと必ず行き詰まるはずです。学校では、論理的に説明できる範囲では生徒の”何故”に答えてくれることが多いですが、論理で行き詰まったときに、”駄目なものはダメ”とは言われた記憶がありません。

教養ある人間は、学校の先生たるものは物事を冷静に、論理的に説明できなければならないというドグマがあったんでしょうか・・・。そういう先生方を斜に見ていた自分が確かにそこに居ましたたらーっ(汗) 何故行き詰まるのかを私自身がそのとき分かっていたわけではないので恥ずかしい限りですが。

駄目なものはダメと言うことが出来るためには、論理を超えた何ものかが必要です。まったく同感です。ちなみに著者はその一つを”情緒””武士道”と表現しています。

しかしながら、この著作、ちょっと気になるところがあります。

『国家の品格』
内容を読む限りでは、”国家の○○”でなくとも他に適当な文句があったんじゃ・・・と思います。著者自身、手垢にまみれた”愛国心”ではなく、敢えて”祖国愛”という言葉を使いたい、と語っています。大いに共感する点です。

偏狭かつ排他的な”nationalist”ではなく、郷土・祖国を愛する”patoriot”でありたいと私は思います。だからこそ、過去数年間のうちに大きく様変わりした(保守化)した政治状況にある日本において、”国家の○○”という題は内容に必ずしも沿っていない気がします。もちろん、そのような状況であるからこそ、仮に消費者へのアピール、商業的意図からつけられたタイトルであるのならば、ある意味適切な選択だったと思いますが。

さらに第4章以降
著者の日本に対する愛着心溢れるとても興味深い記述が続きますが、読む人によっては「日本は特別な国なんだ」、「日本文化は世界一」というふうに受け取られることもあるのではないかと感じる箇所が散見されました。
著者の語り口からして、恐らく著者自身にはそのような意図はおありにならないだろうとは思いましたが、ちょっと気になりました。講演が下敷きになっているせいか、くだけた表現もあり、読みようによっては誤解を生む恐れありと思います。

帯には「全ての日本人に誇りと自信を与える画期的日本論!」とあります。
この文句に排他的ナショナリズムの臭い(可能性)を感じるのはあまりにも穿った見方でしょうか・・・。

なにはともあれ共感するところも多々ある本でした。
インドの数学者ラマヌジャンも初耳です。調べてみようと思います。


蛇足ながら
「当時(昭和初期)、九州や北海道や四国に住んでいた人の多くは、一度も富士山を見たことがなかったでしょう。まあ、銭湯の壁で見ていたかもしれませんが。」とあります。

平成18年3月現在、私は未だに富士山を見たことがありません。


さてさて勉強

たまには外に出たいなぁと思う今日この頃・・・車(セダン)


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タグ:愛国心
posted by UBSGW at 10:34| Comment(0) | TrackBack(6) | 書籍一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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